2019.08.02
【ファイナンシャルリサーチ】「老後資金2000万円問題」をムダにしない。この機会に、投資信託で時間分散&国際分散しながら老後資金づくりを始めよう ファイナンシャルリサーチ代表 ファイナンシャルプランナー 深野康彦さんに聞く~(ネット証券5社共同プロジェクト)
■報告書には問題も多いが、老後資金を考えるきっかけにはなったのでは
まず、今回問題になった「老後資金2000万円の不足」について少しお話しておきましょう。「何も対策を講じなければ老後資金は不足する可能性が高い」というのは、今に始まったことではありません。もちろん、今回初めて聞いたという人もいるかもしれませんが、どちらかというと多くの方が何となく気づいてはいたけれど、現実から目を背けていたと言ったほうがよいのではないでしょうか。
また、今回の問題では「『100年安心年金』と言ったじゃないか」という話も出ていましたが、これは2004年に改正された年金制度のことです。この辺りについても、混乱して正しく理解できていない人は多いようです。実は、当時の国会答弁の中でも、年金だけでは老後の生活資金が足りないという話は出ていて、まさに「古くて新しい問題」と言えます。
●高齢夫婦無職世帯の家計収支(2018年)
■老後資金不足に対する3つの策と、預貯金だけに頼れないワケ
老後の暮らしでいくら必要になるのか、またいくら不足するのかは、年齢や生活スタイル、就労状況、保有している金融資産などによってかなり異なります。一つ言えるのは、老後資金の柱である公的年金に関しては、少子高齢化が進む中で今後減ることはあっても増えることは考えにくいということです。そうなると、必要になってくるのは「自助努力」です。
具体的には3つの策による「自助努力」が考えられます。1つめは、定年後も働くことです。「人生100年時代」と言われる中、60歳で仕事を辞めてしまうと残りの人生は40年もあります。その期間の生活資金を、すべて預貯金や年金で賄うのはなかなか難しいと言わざるを得ません。働いて収入を得ることは、老後資金不足対策に非常に有効です。まずは、働く期間を延ばすことを考えましょう。
2つめが資産運用です。これについては今回のテーマですので後ほど詳しく説明しますが、具体的には投資信託への積立投資をメインと考えてよいと思います。中には、預貯金だけで老後資金を準備したいと考えている人もいるかもしれませんが、残念ながら今後金利が上がっていくことは考えにくいでしょう。しかも、低金利は日本だけではなく世界的な状況であり、そう考えると老後資金を金利収入だけに頼っていこうというのは無理があるのです。
そして、3つめの老後資金不足対策は、生活のダウンサイジングです。日々の節約ということより、年齢に合わせて生活をコンパクトにしてコストを減らしていこうということです。この3つの策を上手に組み合わせて、老後の「資産寿命」を延ばしていくことを検討する必要があります。
■老後資金づくりには、個別株や外貨より投資信託をまず検討する
さて、資産運用、投資といった場合には、投資信託をはじめとして、個別株投資や外貨預金、不動産投資などさまざまな選択肢があります。老後資金づくりが目的の場合、その中で私がいちばんおすすめしたいのは「投資信託」のそれも「積立投資」です。主な理由は、次のとおりです。
●分散投資ができる
●「スキマの時間」で対応できる
●投資信託の積立投資ができる節税効果のある2大制度
なぜなら、私達は日本国内に住み、給料などの報酬は日本円で得て生活しています。日本の景気がよくなれば給料が上がり、反対に悪くなれば給料にも影響があります。好むと好まざるにかかわらず、普段の生活を通じて日本に投資しているという状況になっています。
一方、世界の国々の景気が一斉に悪くなることはそうありません(リーマン・ショックのような例もありますが)。ある国がよければ、別の国は悪いというように、好況・不況はまだら模様で起きるのが一般的です。そうであれば、「収入」と「資産」を分けて、「収入」は日本円で保有するけれど「資産」は海外に投資する、としたほうが「分散」の観点からはよいのではないかと考えるのです。
ちなみに、海外の資産に直接投資することは、国内の資産への投資に比べてかなりハードルが高くなります。米国など、個人が直接株式を購入できる国もありますが、国によっては個人では取引が難しい場合もあります。また、海外の個別株の情報を得ることも簡単ではありません。しかし、投資信託であれば、単一の国でも「アジア」のような限定した地域でも、あるいは世界全体でも、商品を選ぶだけで簡単に投資が可能で、これも投資信託ならではの大きな特徴でありメリットだと言えます。
そこで、商品ラインナップ特に「iDeCo」や「つみたてNISA」で投資できる商品の中に、「世界全体」に投資できるインデックス型投資信託(指数に連動する投資成果を目指す投資信託。アクティブ型と呼ばれるタイプに比べて、保有期間中にかかってくる手数料が低い)があるかどうかをまずは確かめましょう。「世界全体」がない場合は、「先進国全体」に投資できるインデックス型投資信託でも構いません。仮に、どちらもないということであれば、その金融機関ではないほうがいいかもしれません。
また、一部の手数料については、金融機関によって異なるケースもあるので、手数料をチェックするというのも一つの選び方です(下の表を参考)。ただ、あまりいろいろ考えすぎるよりは、自分にとって利用しやすい金融機関を早く選んで、早く資産形成をスタートすることのほうが重要だと私は考えます。
●金融機関によって「手数料」に違いが出る2つのケース
最後に、投資信託による積立投資で老後資金を作っていくときに注意すべき点をお話しておきたいと思います。それは、積立投資を始めたら、少し下がったくらいでやめない、損切りをしないということです。投資信託もリスク商品である以上、下落して元本を割り込むリスクはあります。「絶対に損をしない」ということはありません。しかし、一時的な下げですぐに損失を確定してしまうのは得策ではありません。
相場は上がったり下がったりするものです。積立投資の場合は、時間分散を図っているので高値つかみのリスクも低減できています。一時的な下げのときにも動揺せずに、淡々と積立投資を続けることが大切です。もちろん、最初の銘柄選びが間違っている場合はこの限りではありませんが、「世界全体」や「先進国全体」に投資するインデックス型の投資信託を積立で購入している場合は、一時的な下げでは基本的に損切りの必要はありません。
また、投資による資産形成を長く続けていくためには、「保険」の意味で現金や預金をしっかり確保しておくことも重要です。お金が必要なときに、ちょうど相場が好調で投資信託の基準価額が上がっている保証はどこにもありません。手元にある程度の現預金があれば、下がっているところで投資信託を解約するという残念な事態を避けることが可能です。
「老後資金2000万円問題」が話題になってから約2カ月が経ち、「老後資金を作るために何らかの行動を起こそう」と思っていたのに結局何もしていないという人もいるでしょう。しかし、話題に上らなくなっても、公的年金だけでは暮らせない可能性があるという現実は変わりません。繰り返しになりますが、この記事をきっかけに、ぜひ改めて投資信託による老後資金づくりを考えて、行動に移してほしいと思います。
(オリジナル記事掲載元:ネット証券5社共同プログラム「資産倍増プロジェクト」)
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